伝統工芸実演
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9月12日(水)~ 9月18日(火) 

『錺彫刻金具』塩澤政子

奈良時代より現代に伝えられている伝統工芸の「錺金具」は、建築物や工芸品を、より美しく、より丈夫にしたいという「装飾」と「補強」を兼ねて伝えられてきました。法隆寺の金堂の屋根には忍冬唐草模様の破風拝みと隅木の木口に、また五重塔の各重の垂木・尾垂木の木口に透彫りの「錺金具」が飾られています。

平安時代になると、貴族の財力によって平等院鳳凰堂や中尊寺の金色堂に代表される阿弥陀堂建築が多く建てられ、そこには宝相華模様の「透彫錺金具」が非常に多く用いられました。桃山時代になると「錺金具」も大きく豪華になり、模様も熨斗目文様(のしめもんよう)に細かい動植物が施されるようになりました。代表的な模様としては、菊唐草・太閤桐・梅・柏・牡丹などの植物や、鶴・亀・龍・虎・鷲・鷹・鳳凰などの動物が、時代をこ越えてモチーフとして使われています。

「錺金具」の製作はほとんどが注文製作です。注文のあった金具を、取り付ける木の部分に合わせて寸法を決め、または紙を当てて型紙を起こします。切り取った地金に直接下絵を描き、鏨(たがね)で模様を打って行きます。唐草模様が一般的であります。次に魚子(ななこ)を蒔くことにより、伸びた地金を平らにします。透彫りは主に宝相華模様が多く、模様を残すように不要な部分を糸鋸で切り取ります。鑢をかけて寸法を整え木槌でふくらみをつけ、メッキや金箔で仕上げます。お神輿には約2000個もの「錺金具」がついており、製作には約3ヶ月を要します。