伝統工芸実演
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7月10日(水)~ 7月16日(火) 

『市松人形』藤村紫雲

市松人形の名は、江戸時代(えどじだい)に活躍した人気歌舞伎役者「佐野川市松(さのがわいちまつ)」に由来していると言われています。
また、呼び名は各地域により様々にあったようです。現在では、「市松( いちまつ 又は いちま)」という呼び名が全国で通じる名となりました。市松人形の特徴は元来、胴・腰があり衣装が着せ替えられるところにあります。人形の存在は、土で作られた「埴輪(はにわ)」や木や布で作られた「天児(あまがつ)」など身代わりとして使われはじめたようです。
市松人形という名で知られる「抱き人形」の始まりは室町時代(むろまちじだい)から公家(くげ)の子どもの遊びに登場したと言われています。その頃の「御湯殿上日記(おゆどののうえのにっき) 」という書籍に「にんぎやう」という語で出てきます。江戸時代中期には一般庶民へと広がりその頃作り手の技術も確立されました。のちに幼児を模った幼子人形(おさなごにんぎょう)や這い子人形(はいこにんぎょう)なども作られてきました。

 

人形は、世界中に色々な種類・形や作り方があります。いつから作られてきたのか、どうして人形が作られたのかなど、人形の無い国を探すのも難しいくらい昔から人々の生活に関わり続けて来ています。私の仕事も、過去に大勢の人たちの努力で進歩して作り続けられてきています。その人たちの努力を忘れずに、人形の素晴らしさを大切に伝え、もっと良い人形を作り続けて行きたいと思っています。「伝統」という技術やかたちは、過去のものを守るだけでは残っていかないと思います。新しいことに挑戦し続けることで本当に良いもの、素晴らしいものが残っていくと考えています。動くことのない人形が、笑って見えたり哀しそうにみえたり、手足の指先までが動き出しそうな表情をつくりたいと思っています。